首の代表的な疾患
首部位の代表的な疾患をご紹介します。
頸椎症
主に頸椎(首の骨)や椎間板、靭帯等が加齢などの影響によって、変形や肥厚化が進んでいる状態を頸椎症といいます。この頸椎症がさらに進行し、脊髄を圧迫するようになれば頸椎症性脊髄症、神経根を圧迫されている場合は頸椎症性神経根症と診断されます。
脊椎の中のC1~C7の部分が頸椎となるわけですが、なかでもC5/6、あるいはC6/7の部位で起きやすく、50~60代の男性の患者数が多いといわれています。よくみられる症状ですが、頸椎症の状態であれば首の痛みや首の関節可動域に制限がみられるようになります。
なお頸椎症性脊髄症の患者さまにおいては、手足において痙縮もみられる運動麻痺の症状がみられるほか、膀胱直腸障害や歩行障害が現れることもあります。また頸椎症性神経根症の患者さまでは、左右どちらか片側の肩甲骨や腕の付け根あたりから手の指先にかけて、しびれや疼痛、筋力低下がみられるようになります。
治療について
頸椎症であれば、痛みの軽減や炎症を抑えるために非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)や筋弛緩薬、プレガバリンなどの薬物療法を行います。また、頸椎症神経根症についても基本は保存療法で、装具療法(カラー)によって首を固定して安静にするほか、頸部の痛み、腕の痛みやしびれについては薬物療法(NSAIDs、筋弛緩薬
等)を使用します。日常生活に支障をきたすほど重症化している場合は、手術療法が検討されます。
さらに頸椎症性脊髄症に関しても、軽症であれば同様に装具療法(カラー 等)や薬物療法(NSAIDs 等)による保存療法となります。
なお脊髄の圧迫範囲が狭い場合は前方除圧固定術、広いと医師が判断した場合は後方除圧術が選択されます。
頸椎捻挫
一般的にはむち打ちとも呼ばれ、外傷性頸部症候群ともいいます。この場合、頸部で外傷が発生しているのですが、骨折や脱臼などはみられず、頸部の軟部組織(筋肉、靭帯、神経
等)に損傷がみられるようになります。原因に関してですが、主に自動車での追突事故等による、頸椎の過伸展と、それに伴って起きる過屈曲によって発症することが多いとしています。
この場合は画像検査をしても異常が見つかることはないとされ、患者さまが訴える症状(頭痛、頸部の痛みやしびれ、首の運動障害、悪心、耳鳴り、めまい 等)や病歴などから診断がつけられます。
治療について
受傷して間もなくは安静に過ごすようにしてください。具体的には、頸椎カラーによって首を固定する装具療法、痛みについては薬物療法(NSAIDs、アセトアミノフェン 等)の内服薬などを用います。
その後、2週間程度経過し、痛みが落ち着くようになったら、首や肩甲骨などを動かすストレッチ(リハビリテーション)も行っていきます。
頸椎椎間板ヘルニア
頸椎の部分にある椎間板(骨と骨の間にあり、衝撃をやわらげたりする働きなどがある)の髄核が変形するなどして飛び出してしまい、それが神経を圧迫してしまうことで、様々な症状が現れている状態を頸椎椎間板ヘルニアといいます。同疾患は、30~50代の男性に発症しやすく、遺伝的要因、加齢による変性、姿勢の悪い状態(猫背
等)を長時間続けている、喫煙などが発症原因として挙げられます。
よくみられる症状は、首の痛みや可動域制限といったものですが、神経根が圧迫されていれば、左右どちらか片側の腕(肩口あたりから指先にかけて)に強い放散痛がみられるほか、しびれや感覚障害なども現れるようになります。また脊髄が圧迫されるようになれば、巧緻運動障害をはじめ、運動麻痺や歩行障害、膀胱直腸障害に至ることもあります。
治療について
基本は保存療法からになります。まずは首を安静にするため、頸椎カラーによる装具療法を行います。
痛みに対しては、薬物療法(NSAIDs、プレガバリン、筋弛緩薬 等)や神経ブロック注射を用います。
また痛みが落ち着けば、リハビリテーションも開始し、筋力強化やストレッチ、物理療法(温熱療法、牽引療法、超音波療法 等)も行います。
なお上記の治療だけでは症状が改善しない、脊髄症状もみられるようになったという場合は、手術療法(前方除圧固定術、椎弓形成術 等)が検討されます。
